Friday, March 02, 2018

近況201803

仕事、生活ともにぱっとしない(というか働いてばかりでつらい)ので、持ち前の豊かな感受性をを活かし(皮肉です)、最近よかったと思った読み物のことを書きます。


もうすぐ次の号が出てしまうけど(FRaU、月刊誌じゃなくなるのかよ!)、3月号のFRaUの後半の特集「わたしと「家族」」が本当によかった。しょっぱなの、武田砂鉄さんの見開きのテキストは、映画みたいとか思ったり、コラムでこんなことできるんやって思って、びっくりした。文責が、男でも女でも、20代でも30代でも40代でも、既婚でも未婚でも子持ちでも子どもがいなくても、ぜんぜん関係ない、そんなことどうでもいいって思わせる、ひとりの人間の普遍性、凄みがあって。それから、その次のページの黒柳徹子のインタビューにあった、森茉莉のお家に初めて行ったときにコーラを半分個して飲んで、4時間おしゃべりしたときの話もよかった。黒柳徹子と森茉莉はもちろんまったく家族じゃないけど、だけど確かに、家族の話。「家族」の根幹にあるのは、ひとつの主体性をもった命として、自らの「生」に期待し、たのしむこと。そういう価値観、精神が、特集すべてのページに貫通していた。いま、紙の雑誌という媒体でエディトリアルデザインができること、めいっぱいを詰め込んだ文字組みの上に、読んでいて何度もぽたぽた涙が垂れた。


たまたま書店で手に取った『リズムの本質 新装版』(ルートヴィヒ・クラーゲス 著・杉浦 實 訳みすず書房刊)も最高だった。と言ってもまだ読みかけだけれど、一節ごとに身悶えて、鼻息が荒くなる。ぐっときすぎて全然読み進められない。偏屈で、ユーモラスで、美しい。こんな言葉が、「訳されたもの」として新刊書店に存在すること、ありがたくて手を合わせてしまう。この判型、この印刷、この文字組み、イワタ明朝体オールド、2017年新装版にして!という装丁も最高。


東京に住む、ともまつりかさんがトレードしてくれたzine " I'm really not there #1 "、これは本当に凄かった。ともまつさんが、4人のお友だちにインタビューしたのをまとめたもので、勢いと丁寧さ、お友だちへの敬意が隅々にまで満ちていて、圧倒された。これが400円なんて、安すぎる。同封されていた写真は、儚くて、淡い世界観だったけど、これを作り上げたともまつさんというひとは、さぞかし気骨のある女なんやろうと思って、震え上がった。こういうものを一冊かたちにするだけでもすでに凄いと思ってのけぞってしまうのに、さらにもっと凄かったのは、4人のお友だちがともまつさんにおすすめした映画や読み物を、本当にぜんぶ観たり読んだりして、感想をちゃんと丁寧に言葉にしているところ。「おすすめの○○、教えてください!」勢いよくそう声をかけてくれるひとはたくさんいるけど、実際に自分の手で触れて、言葉にして返してくれるひとはなかなかいない。(でもきっと、そっちのほうが<普通>なんだと思う。)だけど、このzineには、「本当にやる」。そういう、奇跡のような誠意とガッツが詰まってた。愛って言ってもいいと思う。最後のページにあった「あなたの話も聞かせてください」というまっすぐな言葉が、どこまでも、遠くまで、響けばいいなあと思う。

花椿のダルちゃんは、ヒャー上手だなあすごいなあって、最初のときからびっくりしてたけど、ここのところの話は、あらゆる境界を溶かしにかかってる!って思って、画面をスクロールする手指にも力がこもる。第21話の最後、「もしかして、書いてみたくなった?」って!――カナイフユキさんのzine「目ざめも!」で、作り手 / 受け手は対等な関係という叫びがあって、わたしは本当にそうだよねって、寄り添うようなもたれ掛かるような切ない気持ちになったけど、こんな気持ちも、鮮やかにあたたかに溶かしてくれるといいなと思う。来週もたのしみだなあ。

は~、述べた述べた。もちろん明日も仕事です。がんばります。

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